WILD DAYZ
BOOK
\4.515(税込)\4.300(税抜) promoDVD付き
ついに待ちこがれた一冊が届いた。
オフィシャルにはわずかに12インチシングル1枚のみを残して解散したブリストル伝説の中心WILD BUNCHと、彼らを取り巻くひどく魅力的な存在をパッケージした写真集『WILD DAYZ』だ。
貴方がそれほど彼等に注目していなかったとしても、雑誌や様々なメディアで特にこの1年程の間ワイルドバンチという名前を目の当たりにする機会が多々あっただろう。手始めに1年前、突如リリースされたDJ MILOによるMIX-CD "THE WILD BUNCH-Story Of A Sound System" ではサウンドシステムの当事者として現場でヒットしていたエレクトロ、オールドスクール・ヒップホップからダンス・クラシックまで当時を再現する形でミックスし、大きな話題を呼んだ。そして今年に入ってもDJ MILOは初のオリジナル・アルバム"SUNTOUCHER" やミックステープ"RAW ELEMENTS"を立続けにリリースし、その都度『マッシヴ・アタックの前身、オリジナル・ワイルドバンチクルーの最重要人物』などといった記事を目にした。日本に住む僕らにとってDJマイロことマイルス・ジョンソンはMAJOR FORCE POSSEとの交流を通じて、彼の地ブリストルとロンドン〜東京を結び付けた張本人の一人としてよく知られている。HIP HOPという発明品を米国から輸入し、衝撃を持って受け入れた点で日本と英国は同盟国であった。それは過去のレベル・ミュージックと違い他国とのタイムラグを感じさせないモノだった。それぞれの国で昇華の仕方こそ違ったが、この写真集を見れば、Def Jam、Tommy Boy、アディダス、プーマ、カンゴールなど同世代のキッズが同時発生的に同じモノを欲していた事が伝わってくる。
彼らの活動拠点だったクラブ『ダグ・アウト』のDJブースでプレイするネリー・フーパーを中心にマイロ、ダディG、ウィリー・ウィー、3Dが並ぶ写真や表紙にも使われている、ターンテーブルやミキサーなどをそれぞれが抱え、ストリートにたたずむ写真などは過去幾度となく発表され彼らの伝説を更に強固なものにした必殺の一枚としてファンにはあまりにも有名なショットである。
そう、優れた活動家にはそれを記録する優れた写真家が必ずいるものだ。
"DOGTOWN & Z-BOYS"や"FUCK YOU HEROES"などハードコアな写真で知られるグレン・E・フリードマン、THE CLASHを撮り続けたペニー・スミスやSEX PISTOLSなどパンクシーンを撮っていたボブ・グルーエン、BEASTIE BOYSならリッキー・パウエルなど挙げるとキリがないが、それらの写真が果たす役割は時に彼らの残した作品と同じくらい限りなく大きい。写真が残っているだけで次の世代に伝わる説得力にも影響があるからだ。
幸いブリストルにはBEEZERという存在がいた。当たり前だがこの写真集に掲載された写真の、現場の一つ一つ全てに彼は関わっていた事になる。そこにはマーク・スチュワートを始めエイドリアン・シャーウッドにアリ・アップ、テイム・シムノン、そしてシステムから火花を散らす凄まじいジャー・シャカのプレイまでドキュメンタリーとして確認出来る。是非一枚一枚食い入るように見てほしい。いろいろな発見がある筈だ。そして、まだ未聴なら是非、前述の作品も体験してもらいたい。いや、この写真集を見たならそうせずにはいられないだろう。   

鎌田 洋 (ZOOT MYC)